別れ

6/8
前へ
/131ページ
次へ
 ミネラルウォーター。 「ありがとう」  受け取って口をつける。  緑色の瓶の炭酸が入った独特の味。空也が気に入って冷蔵庫にいつも冷やしてある。  この独特の味と炭酸が心地いい。なんだかスッキリする。 「2日酔いに利くんだ」  空也が鞄を玄関に出す。 「荷物は積んでおくから、あいつを呼びに行って来い」 「はい」  瓶を持ったまま慌てて玄関に出る。  空也に荷物を預けてエレベーターで上の階の淳を呼びに行く。  一応チャイムを押す。 「あ、早かったな」 「ええ」  淳が出てくる。 「荷物はそれだけですか?」 「ああ。いる物は送ったからな」  ラフな格好の淳。  黒いジャケットからパーカーのフードを出して被っている。 「体調は?」  ニヤニヤと笑いながら淳が利く。 「何ともありません」 「にしては……」  手に持った瓶に視線が移る。 「昨日はずいぶんご機嫌だったよな……。いいなぁ~旅行」 「…………」  旅行に行く話を淳にした覚えはないから、きっと酔った時に話してしまったんだろう。  エレベーターに乗り込む。
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

235人が本棚に入れています
本棚に追加