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「昔流行ったじゃない。お揃いで相手の物がないと開かないとかって……似てるけど違うみたいね」
腕を放される。
袖を引っ張って時計を中に隠す。
「隠すぐらいなら、外しなさいよ」
潤がベルトの部分を引っ張る。
「外せないですよ」
慌てて腕を引く。
「何よそれ。ちょっと貸して」
「だから外せないんですっ」
「非生産的だわ」
潤がため息を付いて腕を放した。
「何ですか?」
「男同士で結婚したって生産性がないでしょ」
「結婚?!」
誰と誰?
「その時計って、そういうことじゃないの?」
「え?」
「お揃いでしょ?」
「……はい」
「エンゲージリングみたいな物じゃないの?」
潤が自分の手を見せる。
そこにはめられた日比谷とお揃いのエンゲージリング。
「……いえ、『次は指輪を買いに行くか』って言ってましたし……」
「バカじゃないの?」
「え?」
「指輪の替わりって事でしょうが」
潤が頭を抱える。
「そ……そうなんでしょうか………」
え、いや。でも。
「結婚なんて申し込まれてないですよ」
「先生に聞いてきなさい」
「…………」
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