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チケットの搭乗手続きを頼んで、淳が空也の後を追いかけて行ってしまった。
何だろう?
目線で追うと淳と空也が話ながら、ラウンジの方へ進んでいく。
しばらくしてフロントで手続きをしていると淳が帰ってきた。
「何を話していたんですか?」
「別に」
「……気になるじゃないですか」
「大したことじゃないよ」
淳が手を出してチケットを受け取った。時間は少しあったが、ファンやマスコミに見つかると面倒なので、早々に搭乗者用ラウンジに淳は向かった。
「元気で頑張ってくださいね」
「お前もな」
淳が頭を撫でる。
「直樹頼むな」
「ええ」
少し寂しそうな表情。
本当だったら見送って欲しかったに違いない。
学生の直樹君。
「夏前には帰ってくるよ」
「そうですね」
「社長にもよろしく」
「はい」
「じゃ」
手を振って中に入っていった。
その背中を携帯のカメラで撮影して見送った。
『淳が今飛行機に乗りました』
直樹君にメール。淳の背中の画像を添付した。
すぐに『ありがとう』と返事が来た。
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