来春

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 俯いたまま手を引かれて歩いた。 「んっ……はぁっ……ぅうや、……空也っ」 「何だ?」  別荘について玄関に入った途端、後ろから抱き着かれてキスされた。  夕食は来る途中で済ませた。 『今夜は寝られない』  そう言われて意識しなかったわけじゃない。  一ヶ月近い禁欲生活。  すぐに身体は熱くなる。  でも、まだ着いたばかりで荷物も車に乗せたままだ。 「…っ着いたばかり……なのに」 「ああ」  返事はするけど、聞いてない様子の空也。  唇から顎、首に唇で愛撫する。  手はパーカーの下から入って来て、もう片方の腕が落ちそうになる腰を支えている。 「あっ…空也……待って……」  玄関じゃなくて。  歩けなくなる前に……絶対欲しくなってしまうから。  一回じゃ済まないと思うから。 「あっ……んぁ……空也。お願いです。待って……」  力の入らない腕で胸を押し返した。 「せめて…し…寝室に……」  耳まで赤くなる。  その耳を甘がみされる。 「空也……こんなところじゃ……」 「誰もいない」
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