来春

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 いつもよりも低い、少し掠れた声に胸が熱くなる。 「そ、そうですけど……んっあ……待って」  首を噛まれる。  玄関で靴を脱いでそれきり進んでない。 「お願い……空也……」  首に両手を回して抱き着く。  もう精一杯。 「行こう」  空也が手を引いて進む。玄関を入って向かいに広いリビングとキッチン。2階に上がっていくつか部屋が列んでいた。  空也が使うことが伝えてあったのだろう、至る所に花が飾られて、掃除も行き届いていた。 「ここが主寝室だ」  扉を開くと広い室内には天蓋付きの大きなベッド。同じ色調のソファーも備え付けられていた。 「広いですね」  思わず立ち止まる。  まるでホテルのような造り。  白いカーテンに覆われてその上から濃い緑のカーテンが掛かったベッド。  同じ緑色のクッションが沢山置いてある。  海外の星の付いたホテルはよくこういう仕様にしてある。  ここが主寝室だとしたらゲストルームとかもありそう。床の絨毯もフカフカ……。  空也が腕を引く。  ベッドに引き上げられた。  明るい室内から天蓋の中に入ると少し暗い。
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