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リビングの電気は消えていて、静かに着替えて寝室のドアを開ける。ベッドサイドのライトが付けっぱなしになったまま、空也は熟睡していた。
そっと起こさないように横に入り込む。
眼鏡を外す。
間近で見る寝顔。
ドキドキする。
無精髭が伸びている。
男らしい顔。
その頬に手を伸ばして、そっと……触れるだけのキス。
「……初音?」
「ごめんなさい。起こしましたか?」
「ああ。……お帰り」
腕の中に抱き込まれる。
「……ただいま」
額にキス。
鼻……頬……唇。
「……んっ……」
口づけに応える。
「明日は早いのか?」
唇が離れる。
「ええ。また早朝からの撮影があるので、6時前には……」
「そうか」
ギュッと抱きしめられる。
少し上がったお互いの体温。
お互いが分かっていること。
忙しくてもう1カ月近く抱き合っていない。夕食も一緒に食べることもできない。
「明日は淳の送別会があるので、遅くなります」
「分かった」
空也が目を閉じた。
「……空也……」
「何だ?」
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