偶然

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 モゾモゾと寝返りを打って向き合うように抱きつく。 「……あの……」 「何だ?」  目を開ける。 「もう一度だけ……」  唇を見つめる。 「キス……して……」  耳まで赤くなりながら、そう訴えると、空也は軽く触れるだけのキスをくれた。  でも、離れてすぐに目を閉じる。  物足りない……。  明日は朝から忙しい。  もう、真夜中。 「空也」  呼びかけると少し怒ったような表情で睨み付けられた。 「……ごめんなさい……」  胸に顔を埋めて目を閉じる。 「……欲しくなるだろ」  ボソボソと呟く声。  『休みの前だけ』そう約束したのは自分。  『欲しくなる』  分かっている。  ギュッとしがみつく。 「お休みなさい」 「お休み」  目を閉じた。  午前中はロケで撮影があり、昼からは雑誌の取材とスタジオ内撮影。  夕方、事務所で開かれる送別会の会場に向かった。  社長をはじめ潤や日比谷、他のマネージャー、親しい所属タレントが20人近く集まった。  会場にはタクシーで移動した。 「あれ?」
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