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街を横切る車内。信号待ちで止まった向かいの歩道に見知った顔を見つけた。
空也?
見間違えるはずが無い。あの長身はかなり目立つから。隣には知らない女性。
品のいいクリーム色のヒラヒラとしたフレアタイプのスカートとジャケット。
誰だろう?
セミロングの黒い髪を緩く巻いていて、ニコニコと笑っている。
「宮?」
「あ、ああ。何ですか?」
窓の外を食い入るように見つめているのをいぶかしんだ隣りに座る淳が窓の外を見る。
「あれって……時谷センセ?」
「そうでしょうね」
信号で止まっていた車が動き出す。
「知ってるやつか?」
横に首を振る。
「ま、帰ってから聞けばいいじゃん。明日から休みだろ? 今日は飲んでも大丈夫だろ?」
「明日は、あなたを空港に送るまでが仕事ですから、飲めません」
「いいよ。1人で行けるし。直も学校があるから来れないって言ってたから」
「そうなんですか?」
「ああ。今日は飲んで……」
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