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黙らすように唇を塞がれる。満足する前に玩具を取られた子供のような顔が目の前にあった。
「んッ……ゆうだ……まてっ」
不満を解消するように荒くなっていく"遊び"を抑えようと胸板を押すが、今度はその左手を押さえられる。左手を引こうとしても手首を掴んで離そうとしない。
ほんとにこういう時の子供っぽさは嫌いだ。
「……やめんッ……っての……!」
「やだ」
このやろう。こっちはまだ家事が残ってんだぞ。
遊びたがる22歳のガキとの交渉決裂を確認した俺は最終手段に出る。即ち右足で侑大の足を素早く払い、胸板に添えているだけだった右手で上体を強く押す。
掴んでいた俺の左手首以外の繋がりが切れた侑大は、比較的静かに床にすっ転んだ。左手首の繋がりのおかげで、酔っ払いにも受け身を取らせることができた。
何が起きたのかわからないという表情の侑大を横目に、俺は洗面所に足を運んだ。
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