小説家~その後①

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 淳は後部座席で横になって寝ていたが、マンションに着くとあくびをしながらエレベーターで上がっていった。 「ただいま帰りました……」  同じマンションで空也と同居中。  リビングの電気はまだついていて、エアコンも利いていた。 「おかえり。遅かったな」 「ええ。今日はドラマの撮影でしたから……。風呂に入ってきます」  コートを脱ぎながら自室に戻って風呂に入った。  空也が入ったばかりなのか、脱衣所も浴室もほんのり温かかった。リビングでは空也がまだノートパソコンで何かしていた。 「小説ですか?」 「いや、別の仕事だ」 「そうですか……」  向かい合わせに椅子に座ってミネラルウォーターを飲む。  パソコンに向かっている空也を見る。  カタカタとキーを打つ音だけが響く。  モニターを見ていて視線は下を向いている。。  横にある資料らしき物を時々捲る。  いつも自室で仕事をしているので、こんな姿は初めて見る。 「寝ないのか?」 「寝ますけど……」  普段とは違う様子をもう少し見ていたくて、立ち上がれない。 「ここで仕事してるの珍しいですね」
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