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~・空也視点・~
ホテルの部屋から電話をかける。
相手は陸也兄。
そこから初音の事務所の社長に電話をかけて、若塚というカメラマンの事務所の連絡先を聞いた。
さっき別れたばかりで、話はすぐについた。
若塚は『見せつけ無くても、堪能させて頂きました』そう言って電話を切った。
にやけそうになる顔を引き締めるためにシャワーを浴びて、寝ている初音の横に入り込むと、抱き寄せた。
首や背中、見えるところに情事の痕を残した。今日の撮影のために痕を付けることは拒まれていた。
『休みの前だけ』
その上、好きに抱けないのにはイライラする。
今日はいつものスーツも着て行かなかった。
顔にかかる前髪を掻き上げてやる。
眼鏡とスーツ。
鎧と盾のように初音の色気を守る物。
眼鏡はかけて行ったが……普段着の初音はスーツより雰囲気が和らぐ。
初音を狙う輩がいないとは限らない。そういう奴らには今日の初音は普段より近づきやすかったに違いない。あいつが電話をかけてきた時、『初音を早く返したければ協力しろ』だった。
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