245人が本棚に入れています
本棚に追加
「社長には何も言ってない」
ご飯を食べながらモソモソと答える。
「空也っあのポスター返してください」
「それより飯を食え」
「はい……」
箸を手に取って夕食を食べはじめた。食べ終わると食器の片付けは私の仕事で、空也は先にシャワーを浴びに行った。
片付けとは言っても食洗機に少し濯いだ食器を入れるだけ。洗い上がった食器は空也が片付けている。
空也の自室のドアの前に立っていると空也がシャワーから出てきた。
「初音?」
「空也。ポスター……」
「分かった。分かった」
笑いながら自室のドアを開けてくれて、先に中に入るとパソコンの机の上に置かれたポスターを渡してくれた。
「どうせ来週には街頭に張り出されるんだろう?」
「そ、そうですけどっ。こ、これは私が預かります」
「どうぞ」
急いで自分の部屋に持って返って、隠し場所にしているベッドの下に押し込んだ。
案外簡単に渡してくれたのがちょっと引っかかるけど、返してもらえた事にほっとした。
最初のコメントを投稿しよう!