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13【優しくない】
「お疲れ様。はい、珈琲」
「どうしたの？ ……優しい？ 僕が？ それは誤解だよ。僕は優しくなんかない。ただ、人より地獄を見てきただけ」
「分からないって顔してるね。具体的に言うと、裏切りとか嫉妬とか。あと、人の浅ましいところを嫌というほど見てきた」
「僕は、そういう連中と同類になりたくないだけ」
「ははっ、まだ優しいなんて言うんだ？ 本当に誤解なんだって。うーん、そうだなぁ……」
「この前君に酷いこと言ってきた奴がいたろ？ アイツには僕も地獄を見せられたことがあってね」
「ねぇ、最近アイツ見ないでしょ？」
「今頃僕に味あわせた以上の地獄を味わってるはずだよ。ま、僕が知ってる地獄に比べたら、生ぬるいんだけどね」
「他にも、僕を地獄に突き落とした連中を落とし返してあげないと。面倒だけど、こうでもしないと気がすまないからね」
「ね、優しくないでしょ？ お願いだから君は、落とされる側にならないでよね。面倒だから」
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