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31~40
31「いえ、でも悪いです。それに貴方にも、お連れ様がいらっしゃるのでは……?」
32「失礼、少し煙草臭いかもしれないが……」
33「私から見たら、貴方はとても優しい方です。あの、今更ですがお名前を伺っても?」
34「綺麗だ。そのままでも充分綺麗だが、せっかくの浴衣姿なのに、髪に飾りが無いのが寂しいと思ってな」
35「彼岸花は疫病花だの幽霊花だの地獄花だのと、不吉な呼び名があってなァ。持ち帰れば火事になるだとか、手折ったら手が腐るだとか忌々しい迷信がある。世間じゃ嫌われた花だ。御家族が嫌な顔するだろうよ」
36「互いに見えなくとも想いあっているんだ、ってなァ。それと彼岸花の花言葉が好きなんだよ」
37「これはリトルシガーといって、葉巻の一種なんだ。紙煙草みたいに変なものも混じってない。それとこれはジョーカーカオスっていってな、メープルの様な香りがするんだ」
38「女と来たら俺が払う。これが俺の流儀なんだから、気にすることはない」
39「羽織は捨てませんし、絶対にお礼させてもらいますからっ」
40「しかしまァ、今夜は特別寒い気がする。先程まであたたかな時間を過ごしていたからか、ただ単に寒いだけなのか。出来れば前者であればいい」
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