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ふと、私は自分の耳が以前より聞こえることに気づいた。そうだ、電車の時からだ。
そこで1つ仮説が生まれた。
回診に来た看護師に尋ねた。
「ストレスで耳が聞こえなくなることはありますか?」
返ってきた言葉はこうだった。
「そういう患者さんを見たことはあります。……前の先生は筆談で対応したと聞いていましたが、今回は話してみて聞こえている様子だったと先生はおっしゃってましたよ」
「でも、また何か変調があったら教えてくださいね」と、付け加えて看護師は出ていった。
私は鞄から、少しよれた診断書を取り出した。
そして確信した。
『あいつは私の人生にいらない』
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