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「え、平本くん、何を言って……」
勇斗は颯吾の言っている意味がわからずにいた。
「そうそう、伴、あと5分くらいで集合時間になりそうから一緒に行こうぜ」
「い、いいよ、平本くん、先に行ってて」
「……わかった。先に行ってる。あとでな」
「平本、いい奴じゃないか。伴が自分のことをバツだって思ってるならバツだってさ、バツのこと気に入ったって言って友だちが出来るんだよ」
「へ、僕のこと気に入ったって……」
勇斗は颯吾の顔を思い浮かべ、顔を真っ赤にしていた。
「伴、先生、変なこと言ったか?」
「いいえ、そんなことないです。僕、校庭に戻ります」
「体育の時間、あとちょっとで終わりだから頑張れよー」
と、担任の教師は勇斗に手を振って行った。
勇斗が校庭まで戻ると、颯吾の怒鳴り声が聞こえてきた。
「お前ら、さっきのハードルリレーのとき、伴のことを突き飛ばしていたよな。伴に謝れよ!」
「うっわー、いくら自分たちがハードルリレーで勝ちたいからって、クラスメート突き飛ばすなんて、サイテーだな。まあ、バツもバツだけど」
と、言った人物は涼矢だ。
「そうだよ。授業始まる前の準備運動で走っていたとき、バツの奴、オレらを無視したんだぜ」
「だから、バツを懲らしめてやろうとしただけだよ」
涼矢の言葉に乗せて、勇斗が小学生の頃から知っているクラスメート2人がそう言った。
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