第1話、友だちが出来ないと思ったらバツ

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「え、平本くん、何を言って……」 勇斗は颯吾の言っている意味がわからずにいた。 「そうそう、伴、あと5分くらいで集合時間になりそうから一緒に行こうぜ」 「い、いいよ、平本くん、先に行ってて」 「……わかった。先に行ってる。あとでな」 「平本、いい奴じゃないか。伴が自分のことをバツだって思ってるならバツだってさ、バツのこと気に入ったって言って友だちが出来るんだよ」 「へ、僕のこと気に入ったって……」 勇斗は颯吾の顔を思い浮かべ、顔を真っ赤にしていた。 「伴、先生、変なこと言ったか?」 「いいえ、そんなことないです。僕、校庭に戻ります」 「体育の時間、あとちょっとで終わりだから頑張れよー」 と、担任の教師は勇斗に手を振って行った。 勇斗が校庭まで戻ると、颯吾の怒鳴り声が聞こえてきた。 「お前ら、さっきのハードルリレーのとき、伴のことを突き飛ばしていたよな。伴に謝れよ!」 「うっわー、いくら自分たちがハードルリレーで勝ちたいからって、クラスメート突き飛ばすなんて、サイテーだな。まあ、バツもバツだけど」 と、言った人物は涼矢だ。 「そうだよ。授業始まる前の準備運動で走っていたとき、バツの奴、オレらを無視したんだぜ」 「だから、バツを懲らしめてやろうとしただけだよ」 涼矢の言葉に乗せて、勇斗が小学生の頃から知っているクラスメート2人がそう言った。
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