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三咲の決意
「私、ヨガ講師になることにしたわ。」
「え、なんで?」
「ヨガやってる人はスッピンが多いらしいし、講師ともなれば、堂々とスッピンでいられるでしょ。保と一緒にいられるでしょ。」
三咲はこともなげに言った。
「……すごいな。」
「なにが?」
「僕は、どうしよう、どうしようって、ぐるぐるしてばかりだったのに。そんな抜け道見つけるなんて。」
「まあねー。
女子の情報力ってやつ?」
三咲はドヤ顔だ。
僕は尻に敷かれる予感がした。
三咲は手始めとして公民館のヨガ教室に入り、高校卒業後に単身インドへ渡った。ヨガの勉強を兼ねて、ヨガ発祥の地の土を踏んでおきたいとのことだった。
僕は考えた。
三咲が帰ってきたら、プロポーズしよう。
僕のためにここまでしてくれる女、他にいるか?
いや、してくれたとしても、三咲以外じゃ迷惑だとしか思わないだろうな。
空港で三咲が乗った飛行機を見送りながら、僕は三咲が代わりのきかない存在であることを再認識していた。
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