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手紙
三咲の帰国を待つ僕のもとに、ある日三咲から手紙が届いた。
『久しぶり!
長いつきあいだけど、
手紙ははじめてだよね。
……今回は、手紙にしたかったんだ。
元気ですか?
私はこちらに来て以降、どんどんたくましくなってきています。もうガンジス川の水にも慣れて、飲んでもお腹壊さなくなったよ。』
「おいおい、たくましすぎるだろ!」
僕は手紙にツッコミを入れて笑った。
手紙なんて何事かと思ったが、普通に近況報告のようだ。
僕は自室の床に寝転がった。
『こちらでは、毎日毎食カレーを食べています。
びっくりでしょ?
ーータネ明かし!
カレーって、そもそも『おかず』っていう意味なんだって。』
「まじでー! それは毎食くってください。」
『まあ、そんな驚きもありつつの生活です。
ヨガはね、すごく上達したよ。
私はこっちの専門用語が単語でしかわからないから、先生の指導のおかげじゃあないことは確か。笑
なんだろうな……。
食べる物、飲む物、吸う空気、景色、風。
そういうもののおかげかな。
心も体ものびのびしてる。
そうしたらね……帰りたくなくなっちゃったの、日本には。』
「えっ! まさか僕にも来いってのか?」
『さいわい、日本語のできる地元民と友達になって、その人に』
その後に書かれている言葉を、僕は三度見した。
『プロポーズされました。』
プロポーズ。
ぷろぽーず。
プロ……ポーズ。
あまりの展開に、
僕は思考停止した。
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