輪廻Ⅱ『自戒』

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 金原は泣く子は苦手である。そもそも子供はあんまり好きじゃない。 「君はどうしてコロが死んだのに悲しくないの?」 「だってコロが来て私に天国に行くって伝えに来たの。寿命なら仕方ないでしょ。神様がくれた命を生きたんだから」  子供には不思議な力がある。純粋が時に動植物と同じ空間に入ることが出来る。幼児が笑い転げたり泣き通しであるのは、その空間に入って喜怒哀楽を共有しているからである。 「じゃあどうして戦争で人が死ぬとそんなに悲しむの?普通の子はペットの犬の方が可哀そうだと思うよ」  珠緒はパジャマの袖で涙を拭った。 「珠緒、珠緒、入るわよ」  勝代は声が聞こえたので珠緒の部屋を覗いた。 「寝言かね」  勝代は珠代の額に掌を当てた。 「熱い。お前熱があるんじゃないのかい」  金原の掌が脳に沈んでいたせいでまだ火照っていた。 「違うよおばあちゃん、熱はないよ」  それでも勝代は体温計を脇に挟んだ。 「おかしいねえ、珠緒の言う通り熱はない」 「神様の使いのおじさんが来たんだよ。珠緒のことを心配してくれてたよ」 「うなされていたんだねえ」 「違うよ、癪も一緒だよ。可愛い鳥みたいだけど虫だよ」 「変な夢を見たんだねえ、癪なんて縁起が悪いよ」  珠緒は諦めた。一向に信じてくれない。 「明日、学校の帰りにおばあちゃんと一緒に病院に行こう。さあ寝なさい」  勝代が出て行った。勝代が出て行くと転生移動をしていた金原が戻って来た。
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