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 血に染まる白いドレス、に見えた。 「いったい何なの!? ちょっと、こちらはどういう管理をしていらっしゃるわけ? こんな、……どうしてくれるのよ!」  客である婦人の悲鳴のような声が天井の高いホールに響くのを、めぐみは無感情に聞いていた。  上品な良家の奥方がここまで平静さを失うことなどそうはない。内心は別として、体面上も感情を抑えて取り繕う習慣が染み付いているはずだからだ。  紹介によって限られた、──選ばれた少数のみを受け入れている、趣ある洋館でのゲストハウスウエディング。  普段は営業しておらず、式のたびに臨時のスタッフを集めているそうだ。  めぐみは、嘉裕(よしひろ)がここで結婚式を挙げると知って前準備の単発アルバイトで潜り込んだ。  新卒で就職できず、短期で繋いでもう二年半。時間はあるので問題はない。  当然、式と披露宴には招待されていた。  切り捨てた女でも花嫁の『親友』なのだ。しかも略奪でも何でもなく、来させずに乗り切る方法などありはしない。  めぐみを呼べない状況に、苑子(そのこ)がすんなり納得するはずもなかった。
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