何色のこころ

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何色のこころ

川の水は静かで、こくりとー、こくりとーと言いながら流れている。 浸した足が冷たい。確実に川が流れ変わっているのだと、私のふくらはぎが教えてくれる。 ハヤブサが空高くを、ぴーと言って回っていった。川の水に木々の緑が映って綺麗だ。 川の向こうにお母さんがいる。私たちは赤く草木染めをした布の端と端を持って、余分な染料を川に流している。 「あと三回くらいは染めないとだめね」 お母さんが言う。川の水がこくりとー、こくりとーって言うから、お母さんは少し声を張っている。 「ねえ、綾乃。ある歌手のひとはね。白がいい、白になろうって歌ったの。何度でもどんな色にでも染め変えられる、って」 「へえ」 声を張り気味にしてお母さんに答える。 「それがどうかしたの?」 手を水に浸して、布を動かしながら訊く。
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