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1.怪しい女
その怪しい女が現れたのは数ヵ月前のことだと思う。
帰り道に人の気配を感じ、振り返ると少し後ろに女がいた。
しばらく同じ距離感で歩き、それは私が帰宅するまで続いた。
初めは、同じ方向に帰る人なんだろう、くらいに思っていたが、あまりにも頻繁に遭遇するので、これは普通ではないと思えてきた。
私は、もう第一線ではないが簡単な仕事をしており、帰宅する時間も毎日同じという訳ではない。
それに私のマンションの先には大きな公園と、少し行くとやがて海が見えてくるだけで、人の住む建物は近くには見当たらない。
なので、これは明らかに私が後をつけられているのだと思い始めた。
私はマンションに一人で暮らしている。
いつから一人で暮らしているのか…そんなことはもう忘れてしまったが…。
話を戻そう。
もしかしたらその女は昔の知り合いなのかもしれないと思ったが、おそらく40代くらいのその女に私は見覚えがなかった。
それに知り合いなら向こうからさっさと声をかけているだろう。
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