1人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
1.怪しい女
それからしばらく女は仕事帰りの私の後をつけてくるだけだったが、ある時私は気付いた。
それは、休日にスーパーに買い物に出かけたときのこと、ふと見慣れた視線のようなものを感じて辺りを見渡すと、よく見ないとわからないが、間違いない。
あの女だ。
普段はスーツや小綺麗な格好をしているので、その時のTシャツとジーンズという出で立ちに全く気が付かなかった。
いつからかわからないが、休日も後をつけられていたのだ。
やられた!と私は思った。
まさか休日にまで現れるとは思っていなかった。
ここのところ、毎日のように女の存在は確認していた。
ということは、平日も土日も、ほぼ毎日私の後をつけている、ということになる。
ひょっとして大掛かりなモニタリングでもされているのではないか、なんてことを思いながら、私はこれからどうするべきかを考えることにした。
そもそも、女の目的は何なのだろうか?
私に話し掛けるでもなく、一定の距離を縮めようともしない。
数ヶ月この状態なのだから、とりあえず危険性はないのではないか、そう思えてきた。
最初のコメントを投稿しよう!