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2.謎の娘
それからあっという間に10日が過ぎた。
まるでずっと昔から住んでいたかのように娘と私は自然に暮らしている。
ふと、私はいつまでこの生活が続くのだろうと思った。
あの女からはしばらくの間と言われているが、娘は高校2年生とのことだ。
この大事な時期に親元を離れてこんな生活を続けていていいのだろうか?
部活はしていないらしいが、大学は受験しないのだろうか。
落ち着いて考えてみると色々と気になってきたので、夕飯の時に尋ねてみることにした。
「…大学はどうするの?」
娘は例によってスマホを片手にご飯を食べているが、チラッとこっちを見て、
「気になる?」
と聞き返してきた。
私は頷いた。
「出会ってからまだ10日程度だけど、君は料理もできて、頭も良い…いや、勉強のことではなくて、というのは、何するにも要領が良い気がするからね、頭の回転が早いというか…」
だからこそ、こんなところでこんなことをしていていいのかと聞きたかったのだが、娘は急にスマホを置くと俯いてしまった。
その反応に驚いて、私は言葉に詰まってしまった。
急に一体どうしたというのだろう。
「…そしたら…」
少しの沈黙の後、娘は顔を上げた。
「そしたら、先に私が聞いてもいい?」
娘はこちらを真っ直ぐに見つめている。
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