染まる

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「時間が出来たから少し寄り道しようかな」  そのまま帰っても良かったのだが好きな作家の新刊が出たとネットニュースに流れてきてた事を思い出して本屋へと向かった、若い頃は意味もなく本屋に来ていた気がする、スマホはもちろんインターネットなんて情報源の無かった学生時代、本屋という空間は最先端の情報が並ぶ何処か特別な場所だった。  特に興味もない映画雑誌や音楽雑誌をパラパラとめくっては、同級生をシラケさせない程度の一般常識(・・・・)をインプットして休み時間や放課後の下らない会話についていった、あの頃のアイツラは一体何処から情報を得ていたのか不思議だった。  新刊本のコーナーに行くと店員の手書きのポップが目に入る「あぁこっちも新刊出てたんだな…」妻が好きだった推理小説のシリーズ物、何年も新刊が出てないって怒ってたな。  フッ…と苦笑いがでる、今日はコッチを買って帰るか。
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