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大好きな大切な人
少女はとある病院の精神病棟にいた
艶のある長い赤色の髪
それと同じ色の綺麗な瞳
まだ幼さが残るその容貌
彼女の手には黒いネコのぬいぐるみが握られている
「大好きだよカナメ。ずっと一緒にいようね」
そしてぬいぐるみを抱き抱えキスをした。
カナメはいつも近くにいる。
ずっと私を見守っていてくれている。
私の大好きな大切なカナメ…
一方病室の廊下では看護師達が断念の異を唱えていた
「あの患者。もうダメかもしれないわね」
「5年間ずっとあの調子でしょ…1日中ずっとぬいぐるみに話しかけてるの…」
「彼女、ずっと監禁されててたらしいのよ。カナメっていうのはその監禁してた男の名前。まあ…そいつはもうこの世にはいないんだけどね」
今日も暗い空には笑うような不気味な赤い月が浮かんでおり、少女の高らかな笑い声が暗く黒い大空へと響き渡っていた。
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