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怖いもの見たさで足元に目を向けるとそこには
黒い髪に大きなアホ毛が特徴的な私と同い年ぐらいの若い少年がいた。
私の足元をまくらにして完全に夢の世界に行ってるよう。
そう簡単には起きなさそうなのでアホ毛を引っ張ったり、頬をつついたりしてようやく目を覚ました。
「うぅ…すいません疲れて寝てしまっていて……」
声変わりの途中なのか安定してない声。
彼は体を起こすと同時に大きく伸びをしそして真摯な燕尾服とアホ毛を整える。
背丈はクロエより少し高いくらいの華奢な少年。
驚きを隠せなかったがまずは冷静に…とこの子に質問をした。
「あなたは誰?私何も思い出せなくて…」
「あはは…やっぱり記憶を失ってるようですね。ええ…と、ボクの名前はカナメ。あなたの執事であり恋人です」
「執事…恋人?」
彼の言葉に頭が追いつかない。
困惑してる私の顔を察したのか彼は頭をポンポンと撫でニッコリと笑う。
「気にしなくて大丈夫です。寂しいですけど、また少しずつ思い出を作っていきましょうね」
「ごめんなさい…忘れてしまっていて」
彼は私をそっと抱きしめる。
燕尾服からは金木犀のような甘い匂いが微かに漂ってきた。
私と大差ない小柄な体は男女の抱擁にしてはちょっとぎこちなかった。
「ボクは貴方と会えただけでもこの上ないほど嬉しいです。ずっと一緒にいましょうね。ボクのお嬢様」
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