安否の不安な爺さん

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安否の不安な爺さん

 今日の処置室はずっとアラーム音が鳴っています。  そんなにけたたましいわけではなく、静かにヘロヘロとでも途切れることなくピコンピコンと雨垂れのように聞こえてきます。  ピッピッと定期的な電子音も聞こえるので、モニターをつけている方が処置室にいらっしゃるようなのです。  突然おばさんのだみ声が響きました。  「息しろ! 息しろて!」  呼吸停止!?(⁠⑉⁠⊙⁠ȏ⁠⊙⁠)  思わず私も息を詰めます。  カーテンの向こうから、お爺さんの呻くような声が聞こえてきます。 「ヘァッ〜 ヘェッ~」  志村けんのコントはこういう声をサンプリングしてたんだろうなと思わせるなんとも力の入らない声がします。  しかし声が聞こえるということは、爺さんが「息をしている」という証拠。大丈夫、緊急事態ではなさそう。と自分に言い聞かせます。
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