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できれば飲みに行く回数をもう少し減らしてほしいの……。そんな友恵の言葉がきっかけで、二人は結婚二年目にして初めての大喧嘩をしてしまった。
喧嘩そのものは、すぐに終わり仲直りできたのだが、雄太には大きな制約が課せられることとなった。
飲み屋に行く回数は、週一回以内にすること。
友恵のそんな提案にはじめは顔を曇らせた雄太だったが、しぶしぶ納得してくれた。
幸い、雄太はこの二週間、きちんと約束を守っているようだ。
占い師に相談したい内容というのは、飲み屋へ行くペースを以前のように解禁するべきかどうかということだった。
友恵は熱心に水晶玉を布で磨いている占い師を数メートル離れたところからじっと見つめ続けた。
時刻は午後五時半。
デパートは駅前にあるためか、周囲には学校帰りの学生たちの姿がちらほら見える。
やがて一人の女子高生が占い師のそばに近づいた。
どうやら客らしい……。
これはチャンスだわ。
占い師が一体どんな占いをするのか、また客である彼女にどんな対応をするのか。
さりげなく距離を縮め、女子高生と占い師の男の会話を盗み聞きすることにした。
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