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女子高生は深く頭を下げ一礼すると、足早に去っていった。心なしか、その背中が輝いているように見える。
友恵は二人のやり取りを見ていて確信した。この人に相談してみるのが一番いい。
また水晶玉を磨き始めた男のそばに近寄り、声をかけてみる。
「すみません、占ってください」
「あ、お客さんですか。どうぞ座ってください」
男に促され、友恵は椅子に座った。
「さて、何を占えばいいですか?」
「実は夫のことなんです。お酒が大好きな夫とこの前ちょっと喧嘩しちゃって。今は週に一回しか飲みに行かないという約束を守ってくれてるんですけど、その制限をなくして飲み屋に行くのを解禁したほうがいいかどうか。それを占ってください」
「なるほど」
「夫にとってお酒は唯一の楽しみといっても過言ではなくて。もともと交友関係の広い人だから、もっと友達と飲みに行きたいはず……。少しかわいそうなことをしたような気がして」
「わかりました。さっそく占ってみましょう」
男はタロットカードを手に取った。
手際よくカードを切り、テーブルに並べて、一枚ずつカードを開いていく。
男は自信に満ちた態度で言った。
「答えが出ました」
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