頼りになる男

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「どっちですか? 解禁するべき? しないほうがいい?」 「解禁するべきです。そうしないと離婚に至る確率が高い。タロットカードはそう告げています」 「離婚……」 「もし、ご主人と離婚したくないのなら、自由にお酒を飲みに行かせてあげるようにするべきです」  信頼できると感じた占い師の言葉だが、友恵にはまだ少し迷いがあった。  また飲み屋に行って散財されそうな気もする。  そんな心のうちを読んだかのように、男は言った。 「心配いりません。あなたが愛して結婚したご主人でしょう? 信じてあげなさい」  男の言葉に目が覚めたような気がした。  そうだ、その通りだわ。私は夫を愛しているのだ。  もっと彼を信じてあげなくては。仕事をがんばっている雄太に、それぐらいのご褒美をあげて悪いはずはないのだ。  友恵は立ち上がった。 「あなたの言う通りだわ。決めました。夫を信じて飲み屋通いを解禁してあげることにします」 「そうそう。それが一番ですよ」 「あの……お代はいくらですか?」 「いいえ、いりません。妻が夫を心から信じてあげる……。そんな素晴らしい光景を見せてもらったから、それで十分ですよ」
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