0人が本棚に入れています
本棚に追加
「どっちですか? 解禁するべき? しないほうがいい?」
「解禁するべきです。そうしないと離婚に至る確率が高い。タロットカードはそう告げています」
「離婚……」
「もし、ご主人と離婚したくないのなら、自由にお酒を飲みに行かせてあげるようにするべきです」
信頼できると感じた占い師の言葉だが、友恵にはまだ少し迷いがあった。
また飲み屋に行って散財されそうな気もする。
そんな心のうちを読んだかのように、男は言った。
「心配いりません。あなたが愛して結婚したご主人でしょう? 信じてあげなさい」
男の言葉に目が覚めたような気がした。
そうだ、その通りだわ。私は夫を愛しているのだ。
もっと彼を信じてあげなくては。仕事をがんばっている雄太に、それぐらいのご褒美をあげて悪いはずはないのだ。
友恵は立ち上がった。
「あなたの言う通りだわ。決めました。夫を信じて飲み屋通いを解禁してあげることにします」
「そうそう。それが一番ですよ」
「あの……お代はいくらですか?」
「いいえ、いりません。妻が夫を心から信じてあげる……。そんな素晴らしい光景を見せてもらったから、それで十分ですよ」
最初のコメントを投稿しよう!