2.シングルマザー

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「どうしても外せない仕事があったんだ。だから、あの日先にホテルを出るしかなかった」 「………」  信じられない……そう思うのに。 「君の涙を見て、俺は君に惹かれたのかもしれない。あの日君を抱いた時、俺は今まで感じたことのない感情が湧いた。……それは多分、恋なんだろう」 「恋……?」  私の想像している恋とは、少し違う。でも……気持ちは分からなくはない。 「俺は……君が好きだ」 「……そんなこと言われても、困ります」  いきなり好きだなんて言われても、困る。一夜を共にしただけの女に好きだという人がいるなんて……信じられない。 「だから家族になりたいって、そう思ったんだ」 「……私は、あなたと家族になるつもりはありません」 「え……?」  そんな彼に、私は「私の家族は果琳だけです。 あなたに助けてもらうつもりもないですから」と口にする。 「……由紀乃」 「お願いだから、私たちの前に現れのはやめてください。……お願いだから、これ以上私を困らせないで」  私は今更、彼が父親になることを望んでなんていない。これからも果琳と二人で生きていくの。  「子供には、父親が必要なんじゃないのか?」 「……そうかもしれませんね」
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