3.家族になるための時間

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「果琳が大きくなったら、旅行にも行きたい」 「……っ」  ダメだ……。泣いちゃダメよ。  泣いたら負けなんだから。 「君と果琳と、三人で旅行に行きたい」 「……片倉さん……っ」  どうこらえても、涙が出てしまった。 「家族になるのって、そんなに簡単じゃないことは分かってる。……だからこそ、時間をかけてゆっくりと紡いでいきたいんだ。家族という絆を」  家族という絆を……? 「片倉さん、私……」 「今は何も言わなくていい。……ただ、俺に時間をくれないか?」 「え……?」  私の涙を指で優しく拭った片倉さんは「君と果琳のことを、もっとよく知りたい。 もっとたくさん、君と話をしたい」と言ってくれた。 「だから君にも、俺のことをもっと知ってほしいと思ってる。 俺の全てを、知ってほしい」  片倉さんの、全て……? 「知った上で……俺を受け入れるかどうか、決めてほしい」  そんな真剣な眼差しを向けられたら、私は何にも言えなくなる。  片倉さんの真剣さが伝わってきて、なぜか胸が苦しくなる。 「私には……そんな資格ありません」 「……え?」 「私とあなたは、住む世界が違う。釣り合う訳がありません。……私みたいな人と一緒になっても、きっと幸せにはなれないです」
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