3.家族になるための時間

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 剛久さんの本気が伝わってきたことで、私は思わず剛久さんの背中に腕を回していた。 「剛久さん……。私を探してくれて、ありがとうございます」  私と果琳を見つけ出してくれて、ありがとう。今ならそう思える。 「君を見つけた瞬間……心が弾けそうだった」 「……え?」 「弾けそうだったんだ。なんかこう……すごく嬉しかった。君は本当に実在した。幻なんかじゃなかったんだって思って、本当に嬉しかった」  そこまで思ってくれていたなんて知らない私は、ちょっと嬉しいなと思えた。 「大げさ、ですね……」 「大げさかもしれないけど、本当にそう思ったんだ」 「……でも、嬉しいです」  剛久さんはその言葉を聞いて、微笑んでいた。 「私は……ママとしてまだまだです。果琳を悲しませてしまうこともあるし、寂しい思いをさせてしまう時もあります。 だけどそんな時……あなたがそばにいてくれたら、きっと果琳は喜ぶと思います。私も……多分安心します」  誰かが果琳のそばにいてくれるだけで、私は安心するだろう。 「……由紀乃?」 「だからお願いです。……果琳のこと、守ってあげてください」  剛久さんはその願いに「もちろんだ」と返事をする。
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