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目が覚めた時、彼は隣にいなかった。ただホテルの鍵と一枚のメモだけが、ベッドサイドに残されていた。
「……いなくなっちゃったんだ」
まだ昨日の余韻の残るベッドで、私は彼の名前を聞けなかったことを後悔した。
あんなに気持ちよく抱いてくれた人は、初めてだったのに。
「……ありがとう、メガネのお兄さん」
名前が分からないから、そういう名前にしておこう。
とても濃密な夜だったことは、確かだったから。
そしてこの後、更なる後悔が私を襲うことになるなんて、この時は思ってもなかったーーー。
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