クラスメート

2/2
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
 アホみたいな小林彼方も見かけだけなら負けていないくらい「カッコイイ」男だが、大木氏のそれとは違う。むしろ対極。  彼方は見た目、ともかくキラキラしている。    大木氏程ではないがそこそこ高い身長。明るく染めた茶髪、小さなリングのピアス。制服もちょっと着崩したりして。 (うちの高校は校則が緩い)  中身を知らない下級生にはかなりモテる。  猫みたいな身軽さであちこちに居場所を作っている。    一方、大木氏は一言でいうと「静」。  修学旅行で京都の嵐山の竹林を一緒に歩いたときに、なんだかタイムスリップして武士と歩いているような気になった。    因みに、一緒に歩いたのは別に私達が付き合っているとかではなく、単なる班行動だ。  大木氏は決して無愛想ではない。  わからない問題などを聞くと、それはそれは丁寧に、わかるまで教えてくれる。それが男でも女でも。  大木の「お」北村の「き」  席が近くなることが多いので女子の中では私は話している方だと思う。  制服はお手本のようにしっかり一番上のワイシャツのボタンまで緩めることはない。ネクタイだってだらしなく結んでいるところを見たことがない。    なんだか武士みたいな雰囲気だ。実際武士なんてどんなだか知らんけど。 「そうか。北村は県外に出るのか。」 「ん。」 「一人暮らしか?寮にでも入るのか?」 「受かってからの心配だけどねー。アパート探すよ。」 「性差別するつもりはないが、女性の一人暮らしは物騒だからな。ちゃんとしたセキュリティのところを探せよ。飯は作れるのか?」 「いや、あんた、私のお母さんか?」  ブハッと吹き出した。 「お母さん…、いや北村を産んだつもりはないが。」  真面目な顔で答える大男。   ちょうど教師が教室に入ってきて、笑いを堪えるのに苦労した。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!