美少女降臨

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 最近になって通い始めた週3回の塾。  今日はそれもないので学校の自習室に向かった。定期テスト前でもないのに、特進科の専用の自習室は混み合っており、空いている席がなかった。仕方なく塾の自習室に向かおうかと学校を出ようとした。 「北村」  振り向くとそこには大木が一人立っていた。 「北村、今帰りか?」 「うん、自習室、いっぱいだからね。かといって普通科(あっち)の自習室も入りづらいし。」 「近くのファミレスでも行くか?一緒に」 「え?二人きりで?」 「ん?問題あるか?」 「いや、えーっと、ないけど。でも二人でお茶したこととかないよね?」 「?それが?」  いや、それがって言われると別に意味はないが。何事も最初はあるしね?二人でファミレスに入るって別になんてことないよね?  大木氏はたまたま出会ったクラスメートを誘っているだけなんだし。 「行くか?」 「う、うん。」  流れで初めての二人きりのファミレス勉強会が行われることになった。  まあ、かといって甘い雰囲気になる、なんてこともなく。  わからないところを学年の不動の一位に教えてもらえるのはラッキーだった。  すっかり遅くなってから家に帰ると、凪子が待ち構えていた。  「ただいま」 「お姉ちゃん!遅い!」  凪子、そこは、今日はジャージありがとう、でよくないか?  凪子を振り払って玄関をあがると母が台所にいて背を向けている。 「…おかえりなさい」  母が私を見ずに声をかける。 「…ただいま。ごめん、軽くご飯食べてきちゃった。お風呂入ってからまた勉強するね。」 「そう。次は連絡しなさいね」 「はい。ごめんなさい。」  凪子はそのやり取りを聞いて怒り出した。 「えーっ!酷い!お母さん、私がそれやったら凄く怒るのに!」 「あなたはしょっちゅう無断でご飯食べてきちゃうでしょ!お姉ちゃんは、こんなことしたことないし…。」 「も~!不公平!姉妹差別!」  ギャーギャー言っている凪子を無視して部屋に入った。  全く。こんな姿をうちの高校の凪子のファンたちに見せてやりたい。  2階の部屋に入って制服をハンガーにかけ、着替えを持ってお風呂に行こうとしたらまたまた凪子が押しかけてくる。 「お姉ちゃん!今日、何か言ってた?」 「え?誰が何を?」  凪子が何を言ってるのかわからない。 「先輩!私のこと、なんか言ってなかった?」 「あー、小林が超絶美少女とか言ってたよ。好きなタイプがどうとか?」 「えー?恥ずかしいなぁ、って、そうじゃなくて!大木先輩は?」 「大木氏?いや、別に。」 「別に?え?なんにも?」 「?」  凪子はつまらなそうに考え事を始めた。  ほっといて風呂場に向かう。  風呂に浸かりながら大木のことを考えていた。なんだかんだとお茶とホットサンドを奢ってもらった。自分の分は払う、という私に 「じゃあ、また今度のときは北村が奢ってくれ」と言った大木氏。  今度のとき、あるのかな?  タダでカテキョーしてくれるのはラッキーだけど、大木氏にメリットなんかないだろうに。  ん?それとも、あれか?中学の時の男子みたいに「妹、紹介してくれ」ってやつか?  んー?いや、それはない、かな?と思う。  まぁ、それほどまでに彼のことをしらないけど。    
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