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「もう、あなたはいらない」
あなたがそう言って私を捨てた時のこと、永遠に覚えてる。
ずっと一緒だったのに。
あなたが三歳の時から、ずっと一緒だった。
寝る時も一緒だった。
あなたに嫌なことがあった時に、一番最初に慰めてあげたのは、私。
泣いて学校から帰ってきて、私の胸で眠ったこともあったわね。
私はいつも、あなたに寄り添ってあげていた。
なのに、こんなことで私を見捨てるの?
ただ、引っ越すというだけのことで、私を捨てるのね。
新しい家での場所がそんなに大事?
せめて、私に、新しい居場所を探してあげようとは思わないの?
ずっとずっと、支え続けてきてあげたのに、最後には捨てるのね。
私、今、ゴミ捨て場で拾った包丁を持って、あなたの家の中に入ったわ。
引っ越し前で片付いてるけど、十何年も住んでたから、どんな作りか覚えてる。
さあ、今から行くわ――。
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