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俺が紗織と出会ったのは、まだ小学生の時だった。
流れ者だった俺の親父が俺を連れてこの町に来て。
ここで見つけた再婚相手が、当時小料理屋をやっていた紗織の叔母さんだった。
同い年だからと初めて紗織に会わせてもらった日の事を、俺は今でも忘れない。
少し茶色がかったふわふわの長い髪。白い肌。綺麗な瞳。ピンク色の唇。その全部が俺には不思議な衝撃で。
そして、俺を怖がらない女の子がそこにいた。
俺は当時小学5年生ですでに160cmを越えていて、転校が多かったせいでいつもその学校の番長格に必ず眼をつけられた。
お陰でかなり鍛えられていた俺。
けんかっ早くていつも傷だらけの俺は、どんな女の子からも怖がられ嫌われるのが当然で。
でも紗織は違った。
紗織は会ったその時も、傷だらけだったの顔の俺を不思議そうに見ながらその傷に可愛い絵入りの絆創膏を一つ一つ丁寧に貼ってくれた。
子猫やらクマさんやら。途端に俺の顔がファンシーになり、当の紗織が一番大笑いをしていた。
その笑顔が又、とても可愛くて…
本当に大分後になって、それが俺の初恋だと言うことを知った。俺は紗織に一目惚れだったのだ。
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