初恋の残像

3/8
前へ
/166ページ
次へ
 中学は一緒の学校だった。    俺は入学式で見つけた紗織に、自分からは声を掛けられなかった。  でも紗織が俺を見つけてくれて、教室まで追い掛けて来てくれた。   「真ちゃん知らんぷりはひどいよ!!」    笑いながら俺の手を掴んだ紗織。  俺はあの手の温もりよりも優しいものに、今の今まで出逢った事がない。    それからもずっと紗織は俺の女神で、でも紗織にとって俺は兄のようなもので。    当然自分に自信の無かった俺は、紗織に告白する事など出来ず。  ただずっと、紗織の兄のような立場に甘んじていたのだ。    時々、紗織からもたらされるもらったラブレターの話しさえ、俺は笑顔で聞いていた。    あの時、勇気を出して紗織に俺の想いを打ち明けていたら、何かが変わっていたのだろうか…
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加