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中学は一緒の学校だった。
俺は入学式で見つけた紗織に、自分からは声を掛けられなかった。
でも紗織が俺を見つけてくれて、教室まで追い掛けて来てくれた。
「真ちゃん知らんぷりはひどいよ!!」
笑いながら俺の手を掴んだ紗織。
俺はあの手の温もりよりも優しいものに、今の今まで出逢った事がない。
それからもずっと紗織は俺の女神で、でも紗織にとって俺は兄のようなもので。
当然自分に自信の無かった俺は、紗織に告白する事など出来ず。
ただずっと、紗織の兄のような立場に甘んじていたのだ。
時々、紗織からもたらされるもらったラブレターの話しさえ、俺は笑顔で聞いていた。
あの時、勇気を出して紗織に俺の想いを打ち明けていたら、何かが変わっていたのだろうか…
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