遥か

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 トレードマークは迷彩のバンダナ。  黒い革ジャンに履き古したジーンズ。    身長は185cm。結構デカイ方かな。  筋肉質のゴツイこの身体、手積み手卸が多いこの仕事はそれだけで毎日が筋力トレーニング。    顔は仲間によく怖いと言われてる。  ほっといてくれ。    声は低い方だ。でも、我ながらでかい声。    よく、クマとか言われるな。別にいいけど。    好きなものは酒とケンカ。    それと、トラックの運転。    女は…まぁ適当に、欲しい時は買えばいい。    別に寂しいとか思った事は無い。    家族はいない。  お袋は俺が生まれた時に死んだ。    親父は各地のダム建設の工事現場なんかを流れ歩きながら俺を育てた。  俺は捨てられないで一応育てられたんだから、割といい親父だったと思う。    その親父も、再婚した相手と一緒に事故であっけなく死んだ。    俺に残された物は、親父たちの住んでいた小さな家。    けど自営の運送屋である俺は、もうその家に長い間帰ってない。俺は俺の乗るこの10tトラックが俺の家だ。    日本全国どこでも移動可能な、最高の俺の家だ。      俺の名は 木沙真治。  職業トラック運転手。    天涯孤独な自分の身の上を、俺は結構気に入っていた。    
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