愛しき夢

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 気が狂ったように働いた年末を過ごし、大晦日に俺は珍しく自分の家にいた。    多分、帰って来たのは半年ぶり位。  とにかく部屋の空気を入れ換え、簡単に掃除を始める。    親父と義母の住んでいた家だ。俺には大した思い入れも無いが、なぜか売り払うのも気が進まなかった。    ひとしきり使う部屋だけの掃除を済ませ、布団を干す。正月に呑む為の酒を冷蔵庫に冷やした。    しかし大した食料が無い。  どうしようかと思っている時、いきなり玄関先で聞き覚えのある可愛い声が上がった。   「しんじおじちゃん〜!!」    可愛いくハモる二人分の子供の声、俺は急いで玄関に向かう。      声の主は確認しなくてもわかっていた。    
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