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「里穂は何やって遊んでたんだ?」
里穂は小さな封筒やハガキをたくさん持っていた。おもちゃの郵便セットらしい。
「省ちゃんと郵便屋さんごっこだよ、おじちゃんにもお手紙をあげるね」
テーブルで何やら大きな紙にクレヨンで絵を描いている里穂。俺はその小さな封筒を手に取った。
「里穂、おじちゃんは里穂にお願いがあるんだけど」
「何?おじちゃん」
「おじちゃんもお母さんにお手紙を書くから、おじちゃんが帰った後にお母さんに届けてくれるか?おじちゃんが帰った後だよ」
「うん、おじちゃん!」
俺は紗織が台所にいる間に急いで財布を引っ張り出し、入っていた1万円札を全部そのおもちゃの封筒に入れた。
多分、10万近く有るはずだ。金を下ろしておいて良かった。
それに急いで封をする。
「じゃあ郵便屋さんお願いします。大事なお手紙だから、忘れないでお母さんに届けてな」
「はい、わかりました~」
里穂が受け取っておもちゃの郵便ポストに入れた。
これで暫くは大丈夫かな。
「しんじおじちゃん」
俺の膝から離れて何かを持ってきた省吾がまた戻ってきた。ちょこんと座る。
「おじちゃんの!」
手にしていたのは車の絵本だった。
働く車がいっぱい載っていて、その中にトラックもあった。省吾がそれを嬉しそうに指さす。
さっきも自分の家の前に止まっている俺のトラックを見て興奮していた。省吾はトラックが好きなんだな。
「省吾はトラックが好きか?」
「うん!!かっこいいもん」
省吾は本当に嬉しそうに頷いた。
「真ちゃん、これおつり」
しばらくして届いた出前の釣り銭を俺に返そうとする紗織。
「紗織、それで里穂と省吾に何か買ってやってくれよ。おもちゃとかお菓子とかさ」
俺はそれは受け取らなかった。
金らしい金などほとんど無いんだろうに。紗織は本当にすまながっている。
その姿を見ると胸が余計に痛んだ。
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