第1話 11月4日

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 自室へ上がると、小春はスマホを取り出し、メッセージアプリを立ち上げた。  和泉とのトーク画面を開き、指先で文字を打ち込んでいく。 【家に帰ってないって聞いたよ。何かあったの?】  お節介かもしれないが、和泉を案じているのは事実だった。何事もなければ良いが────。  夕飯と入浴を済ませると二十一時を回った。  和泉にメッセージを送信したきりになっていたスマホを手に取る。 「……あ」  “新着メッセージがあります”と、通知が来ていた。今から約二時間前だ。  和泉からかもしれない。  ほとんど反射のように通知をタップし、メッセージアプリを開く。 「え、何……?」  予想に反し、表示されたのは意味不明なメッセージだった。 【(きた)る12月4日、あなたたち2年B組の生徒は全員死にます。 殺されたくなければ、魔術師を捜し出して皆殺しにすること。 魔術師の中であなたが唯一の生存者になったら、見逃してあげる。 力を得たくば何かを捨てよ。 時には“運”があなたの生死を分けるもの…結果が悪くても、そのときは諦めるべし! そんじゃ、健闘を祈ってるよ〜。 ※本ゲームのプレイに拒否権はありません。 ※如何なる場合においても魔法の譲渡は不可となります。 ※魔術師以外を殺害した場合、ペナルティが与えられます。】
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