第1話 11月4日

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 戸惑いに明け暮れながら、送信者を見た。 「ウィザードゲーム、運営……?」  確かに“ウィザードゲーム運営”と書かれているものの、まったくもって心当たりがない。  小春がゲームに詳しくないこともあるかもしれないが、ウィザードゲームなどという名前は聞いたこともなかった。  誤って広告を押してしまい、公式アカウントを追加してしまったのだろうか。しかし、そんな記憶もない。  不安と少しの好奇心から、小春は“ウィザードゲーム”と打ち込み、検索をかけた。  しかし、ヒットするのはカードゲームや似た名称の別のゲームばかりで、小春が知りたい結果は得られなかった。 「そんなに有名じゃないゲームなのかな……」  聞いたことがなかったのは、単純にそういう理由かもしれない。  そんなことを思いつつ、トーク画面に戻る。改めて読み返してみた。 「二年B組……って、一致してるのは偶然?」  何となく気味が悪いが、その程度の偶然ならばまったくないとも言い切れないような気がした。  それにしても、このメッセージは全体が抽象的でよく分からない。  ルール説明というわけでもなく、一方的に言いたいことをぶちまけられただけ、といった印象だ。  口調の統一感のなさから、相手をイメージすることも難しい。 「えっと、つまり……魔術師? になって、魔術師同士で戦う、ってことかな」  小春は何とか意図を汲み取ろうと試みる。  しかし、魔術師とは何だろう。今度はそのワードを検索してみる。 「“魔法使い”とほぼ同義……。“ウィザード”とも呼ばれる、って……そういうこと」  聞き慣れない単語だったが、ウィザードゲームの“ウィザード”はどうやらそのまま魔術師という意味らしい。  魔術師の戦いということは、魔法でバトルを繰り広げたりするのだろう。  小春は漠然と想像した。 「うーん、でも……後半がよく分かんないな」  力とは何を指しているのだろう。  運が生死を分ける?  結果とは、何の結果のことだろう。  さらに引っ掛かるのは、最後の注釈部分である。 “本ゲームのプレイに拒否権はありません”
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