ごめん、ゴン太、約束守れそうにないよ。

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僕と猫のゴン太の出会いは、幼い頃、 母と近所の公園に行った時の事だった。 保育園の帰りに立ち寄った近所の公園で、 ベンチに座っている母の前に、 すーと、静かに一匹の仔猫が現れ、 ちょこんと手足を揃え、舌でペロンと口の周りをなめながら 母の顔を見上げて座った。 その仔猫がゴン太だった。 その仔猫を見て、ブランコで遊んでいた僕は ベンチへ走って行き、母の横に座った。 すると、仔猫は、 少し首をかしげたと思ったら 僕の膝の上に乗り、体をスリスリしてきた。 あまりの可愛さに僕は、 母に「可愛いね。飼っていい」 と、訪ねた。 母は「もしかしたら、 お母さんニャンコが近くに いるかもしれないから・・・」 と、言った。 僕は少し、寂しい顔をしていると そこに竹箒を持った、 公園の管理人さんらしき人が来て この仔猫に話しかけた。 「君の待っていた人は、 この人たちか」と言った。 母と僕は、何のことか さっぱり分からず顔を見合わせた。 その人は「この仔猫、2~3日前から 見かけるんだけど、いつも一匹で、 誰かを待つように、少し離れた所から、 このベンチを眺めていたんだ。 でも、用心深くて、人が近づくと すぐに隠れてしまって。 この子が、こんなに人に懐いているのは あなた方が初めてだよ」と、言った。 僕は「おじさん、 この子のお母さん近くにいるの」 と、聞いた。 おじさんは「いないみたいだよ。 いつも一匹で寂しそうにしているから」 と、言った。 俺は、母に「じゃあ、飼っていいでしょ」と 言った。 普段、僕は、何かをねだる子ではなかったので、 母も、僕が本当にこの仔猫を飼いたいのを理解してくれたようで 「じゃあ、飼おうか」と、言ってくれた。 おじさんも 「そうしてくれると助かるよ」と言った。 僕は、たすき掛けにした通園バックを 半分開け、仔猫を中に入れた。 子猫は、顔と前足を、通園バックから チョコンと出し、大きなクリクリした 可愛い目で外を眺めながら、 我が家に向かった。
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