僕、ほつとかれたんや。

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僕、ほつとかれたんや。

ある秋の休みの日、僕は家族を連れて、猫達と出会った公園に、双子の子供達をカートに乗せ、お散歩に行った。 二匹の子猫は、「僕たちも連れて行って」と玄関でソワソワしていたがお家でお留守番。 夫婦で、双子の娘を見るのが精一杯。 「ごめんね。 帰って来たら、一杯甘えさせてあげるからね」と、妻は言った。 やっと歩けるようになった子供達も、落ち葉の上を歩くと、サクサク音が楽しいのか、喜んで歩いた。 そして、いつものベンチで、妻が作ってくれたサンドイッチを食べてピクニック。 ささやかなイベントかもしれないが、大きな幸せを感じた。 すると、サンドイッチを片手に持った娘達が、奥の植え込みを指を刺し「ニャーん」と言った。 その方向を見ると低い植え込みの前に、正座するように脚を揃えたいグレーの大人の猫が、こちらを見ていた。 その猫は、遠目にも痩せているのが分かった。 妻が「きっとお腹空いているんじゃない」と言って、優しい声で「おいで、一緒に食べよ」と、言った。 すると、その猫は、斜めに歩き、少し警戒しながら、時々、立ち止まりながら近づいて来た。
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