僕、ほつとかれたんや。

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妻は、たまたまカバンの中に入っていた小袋に入ったキャットフードがある事を思い出し、手の上にその餌を載せ「はい、おたべ」と言って、差し出した。 その猫は、妻の顔と、餌を交互に見ながら、キャットフードをゆっくりと食べ始めた。 すると、よっぽどお腹が空いていたのか、キャットフードをガツガツと勢いよく食べ始めた。 食べながら時々妻の顔を見る目は、野良猫の鋭い目ではなく、明らかに飼い猫の優しい目だった。 妻は、「この猫、飼い猫だったんじゃない。 どうしたんだろう」と言うと、箒で落ち葉をはきながら、公園の管理人さんが、また、現れたので、僕と妻は、顔を見合わせてクスッと笑った。
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