霊道解禁

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霊道解禁

 霊道解禁は、混乱を招かないために、往来できる者を人数制限すると決められた。抽選で、当選した者だけが、亡くなったモノと会うことができる。  厚生労働省のホームページから応募できるのだが、約款を見ると百八項目の注意事項があった。  殆どが禁止事項だった。歴史上の人物でも犯罪者は駄目だとか、実在していない伝説上の人物は駄目だとか。動物でも恐竜や猛獣など、危険を伴う可能性のある生き物は駄目だとか。相手が了承しないと駄目だとか。  その中でも、特に注意が必要だと思ったのは、霊が現世へ来られるのは一回だけ。深夜二時から日の出まで。もしも太陽の光に当たれば、霊は消滅してしまう。また、時間内に会えなかったとしても、二度目の当選は無い、とあった。  反対に、生きている人が幽世(かくりよ)へ行く場合、お湯が沸騰する時間までに戻ってこないと永久に戻れなくなる。何故お湯が沸騰する時間なのか。幽世には時間軸が存在しない。どれだけ時間が経ったのかを知ることができない世界だから、お湯の沸く時間が目安なのだとか。  今晩午後十一時から、巷で話題となっている超国際会議がライブで報道される。この会議で『霊道解禁』が可決されれば、当選した者たちの願いが叶うという。私はテレビを滅多に観ないけど、自分に関係することだから気にしていた。
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