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長い絨毯のようにどこまで続く黒色を、きらりと輝く小さな星が装飾している深夜一時。
目が冴えていて眠れなかった日山夏秋は、近所にあるコンビニまで歩くことにした。
八割が気分転換で、残りの二割が買い物だ。
家を出ると、熱くも無ければ涼しくもない、なんの感想も抱かないような気温だった。八月の夜だからまあ当然だろう。
三分間、街頭だけが照らす暗闇の中をただ真っすぐに歩き、到着する。
カップラーメンとジュースを買うと、すぐに出た。
喉が渇いていたので、コンビニを出てすぐに炭酸のジュースを流し込む。
じゅわっと焼けるような痛みが喉を焦がすが、深夜に出歩くことなんて初めての夏秋にとってはその経験がとても新鮮で、楽しく思えた。
「ぶふっ!」
が、学生らしい感慨に浸るのも束の間。
コーラを吹き出し盛大にむせてしまう。
楽になって、もう一度空を見上げてみる。
夜の空を、まるで橋の上を真っすぐに走る車のように駆けている、ステッキにまたがった少女。
そう、魔法少女がそこにはいた。
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